光導波路などの光デバイスの材料にはガラス、Siなどの無機材料が広く研究されています。 一方、有機材料(プラスチック)は安価、柔軟で作製プロセスが簡便であり、光デバイスの材料として期待されています。 本研究室では、有機光導波路の研究を行っています。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は飲み物容器のPETボトルに使われている身近な材料です。
そこで、PETを光導波路に利用できないか、検討しています。
PETは結晶性の有機材料であり、結晶化により光の散乱が生じ、損失が大きくなります。
そこで本研究では、非晶質PETを用いて光導波路を作製しています。
非晶質PETはICカードの表面コーティングに利用されているもので、やはり安価です。
スピンコートによる成膜、ダイシングやプラズマエッチングによる光導波路の形成とともに、赤色~近赤外の光を入射して、伝搬損失を評価しています。
現在のところ、多モード光導波路(コアサイズ 10 um×50 um程度)に対して、波長 830 nmにおいて
伝搬損失 0.12 dB/cmと、低損失な光導波路を得ています。
単一モード光導波路・光波回路の実現を目指して研究を進めています。
PETの他にも、PMMA(メタクリル酸メチル:アクリル)やポリスチレンを用いた光導波路の作製も行っています。 いずれの光導波路においても、伝搬損失0.5 dB/cm以下を実現しています。