=== 移動体への光ワイヤレス電力伝送(光無線給電) === 携帯電話への充電は電磁誘導を用いてワイヤレスで実現しています。 ただしこの方法はケーブルレスではあるもののパッド上から離すことはできません。 そこでワイヤレス電力伝送の長距離化が実現することで、この問題から解放されます。 本研究室では送電側に半導体レーザー、受電側にダイオード型光検出器を用いて光無線給電を実現しています。 また光は自由にビーム走査することができるため、移動体への無線給電を実現しています(下記動画) === ダイヤモンドNVセンターを用いた量子磁気センサー === ダイアモンドといえば宝石として知られていますが、実は量子技術の世界では革新的なセンサー材料として注目されています。私たちの研究室では、ダイアモンド内部の特殊な欠陥構造である「NVセンター」(窒素-空孔中心)を利用した高精度センシング技術の開発に取り組んでいます。 NVセンターとは、ダイアモンドの炭素原子の一部が窒素原子に置き換わり、隣接する位置に原子が存在しない「空孔」が生じた構造です。この微細な欠陥は、量子力学的な性質を示し、周囲の環境変化に対して驚くべき感度を持ちます。特に注目すべきは、これらの量子状態が室温で安定して観測できるという点で、従来の量子センサーが極低温環境を必要とするのとは一線を画しています。 当研究室では「ODMR法」(光検出磁気共鳴法)と呼ばれる技術を用いて、・・・これにより、微弱な磁場変化や極めて小さな温度変動を検出することが可能になります。この技術の応用範囲は広く、生体内の微小磁場測定による医療診断の高度化、半導体デバイスの精密温度モニタリング、あるいは地磁気の微細変動を検出する地球科学研究まで多岐にわたります。 この研究は、量子物理学の深遠な原理を活用しながらも、実用的なセンサー技術として社会実装を目指すという、基礎と応用を橋渡しする挑戦的な取り組みです。 === 光集積回路を用いた機械学習 === 現代の人工知能技術は膨大なデータから規則性を発見し、知見に基づいて高度な分類や予測を行います。複雑な現象を精緻に分析するためには、現在主流の深層学習(ディープラーニング)という手法が用いられていますが、これには膨大な計算資源と電力が必要という根本的な課題があります。 私たちの研究室ではこの問題を解決する突破口として「リザーバーコンピューティング」という革新的アプローチに着目しています。これは情報処理の効率化を根本から再考する計算パラダイムであり、通常のAIが行う複雑な学習プロセスの大部分を簡略化できる可能性を秘めています。 さらに興味深いのは、この計算概念を光学システムという物理的な媒体で実装する試みです。光は本質的に並列処理能力を持ち、電子よりもエネルギー損失が少ないという特性があります。私たちはこの特性を活かし、従来の電子回路ベースのAIシステムを根本から再構築することで、消費電力を劇的に削減しつつ処理速度を飛躍的に向上させる道を探求しています。 このアプローチは理論物理学、光学、情報科学の境界を横断する学際的研究であり、未来のAI技術の新たな方向性を示す可能性を持っています。 === シリコンと化合物半導体とのハイブリッド光検出器 === 次世代シリコンLSIのグローバル配線として従来の電気配線から光配線へ移行することにより、動作速度10GHz以上のLSIが実現できる。 ただし、そのためには導波路、光源、検出器などが必要であり、導波路以外はシリコン以外の材料で形成する必要がある。 そこで、これまでの光通信分野で培われてきた化合物半導体とハイブリッド化させることで、シリコンLSI上への光デバイス (特に光検出器)の作製を試みている。 === CMOS技術を用いた光インターコネクション用光集積回路 ===  上記で示したように、LSI上に光導波路が必要となる。 しかし、従来の光導波路は各研究機関が半導体微細プロセスを用いて独自に作製しているのみであり、 LSIプロセスとの融合は困難である。 そこで、LSI作製に用いるCMOS技術用いて光配線の作製を行っている。 具体的には、LSI設計用のCADを用いて光導波路パターンを設計し、 この設計データを用いてVDECによるCMOSプロセスラインに依頼し光導波路の作製を行っている。 /*=== 光コンピューティング === [[manual|manual]] */