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research [2024/03/29 22:43] – admin | research [2025/05/16 16:02] (現在) – admin | ||
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=== ダイヤモンドNVセンターを用いた量子磁気センサー === | === ダイヤモンドNVセンターを用いた量子磁気センサー === | ||
- | 作成中... | + | ダイアモンドといえば宝石として知られていますが、実は量子技術の世界では革新的なセンサー材料として注目されています。私たちの研究室では、ダイアモンド内部の特殊な欠陥構造である「NVセンター」(窒素-空孔中心)を利用した高精度センシング技術の開発に取り組んでいます。 |
+ | NVセンターとは、ダイアモンドの炭素原子の一部が窒素原子に置き換わり、隣接する位置に原子が存在しない「空孔」が生じた構造です。この微細な欠陥は、量子力学的な性質を示し、周囲の環境変化に対して驚くべき感度を持ちます。特に注目すべきは、これらの量子状態が室温で安定して観測できるという点で、従来の量子センサーが極低温環境を必要とするのとは一線を画しています。 | ||
+ | 当研究室では「ODMR法」(光検出磁気共鳴法)と呼ばれる技術を用いて、・・・これにより、微弱な磁場変化や極めて小さな温度変動を検出することが可能になります。この技術の応用範囲は広く、生体内の微小磁場測定による医療診断の高度化、半導体デバイスの精密温度モニタリング、あるいは地磁気の微細変動を検出する地球科学研究まで多岐にわたります。 | ||
+ | この研究は、量子物理学の深遠な原理を活用しながらも、実用的なセンサー技術として社会実装を目指すという、基礎と応用を橋渡しする挑戦的な取り組みです。 | ||
=== 光集積回路を用いた機械学習 === | === 光集積回路を用いた機械学習 === | ||
- | 機械学習の基本は「大量のデータ中に法則性を見出し,それに基づいて分類する」というものである.近年機械学習に求められるのは,複雑な事象の予測であり,それには膨大なデータを解析しつつ非常に細かく分類する必要がある.これらの解析・分類を行う上で,現在主流の深層学習では非常に多くの学習時間や消費電力を必要とする.一方でこれらのコストを大幅に削減できる"リザーバーコンピューティング"が新たな機械学習方法として提案されている.本研究室では,光を用いてこのリザーバーコンピューティングを完全に物理系で実現することにより,低コストかつ高速動作するニューラルネットワークの実現を試みている. | + | 現代の人工知能技術は膨大なデータから規則性を発見し、知見に基づいて高度な分類や予測を行います。複雑な現象を精緻に分析するためには、現在主流の深層学習(ディープラーニング)という手法が用いられていますが、これには膨大な計算資源と電力が必要という根本的な課題があります。 |
- | /* 学習時に変更する要素が少なく,低コストかつ高速なニューラルネットワークを構築できるリザーバーコンピューティングは,物理系によって構成することができるというのも特徴の一つである.特に光の高速性や広帯域性を利用し光学系によってこれを再現できれば,コンピューター上に構築したニューラルネットワークでデータを処理するのに比べ,圧倒的に高速な演算が可能となる.本研究室では,リザバーコンピューティングにおける入力から出力までをすべて光学系にて行うシステムの構築を試みている.*/ | + | 私たちの研究室ではこの問題を解決する突破口として「リザーバーコンピューティング」という革新的アプローチに着目しています。これは情報処理の効率化を根本から再考する計算パラダイムであり、通常のAIが行う複雑な学習プロセスの大部分を簡略化できる可能性を秘めています。 |
+ | さらに興味深いのは、この計算概念を光学システムという物理的な媒体で実装する試みです。光は本質的に並列処理能力を持ち、電子よりもエネルギー損失が少ないという特性があります。私たちはこの特性を活かし、従来の電子回路ベースのAIシステムを根本から再構築することで、消費電力を劇的に削減しつつ処理速度を飛躍的に向上させる道を探求しています。 | ||
+ | このアプローチは理論物理学、光学、情報科学の境界を横断する学際的研究であり、未来のAI技術の新たな方向性を示す可能性を持っています。 | ||
=== シリコンと化合物半導体とのハイブリッド光検出器 === | === シリコンと化合物半導体とのハイブリッド光検出器 === |
research.1711719780.txt.gz · 最終更新: by admin